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なんか見事に、自分で上げたハードルに引っかかって転んだみたいなことになってますが、悪しからず… orz
三十路越え銀ちゃん、結局現在の銀ちゃんとそう変わらない感じになってしまったよ。おぅおぅ。
このバトンはこれにて終了です。お付き合いありがとうございました!
今日はもう寝なきゃなので、明日にでも一~三をまとめて小ネタ部屋に収納しようと思います!
あ、拍手やメルフォのレスも明日に…!すいません!
三.
石段を下りたら、そこには真選組の公用車ではなく一台の原付が停まっていた。
土方は足をとめて煙草を咥え、おもむろに火を点ける。
シートに横向きに腰掛けている男がこちらを振り向くのを待って、煙を吐き出しながら土方は問うた。
「なんでテメェがいる」
「ちょ、やめてくんないそのストーカーを見るような目やめてくんない。通りがかりに呼び止められただけだっつーの」
抗議にしては緩い口調で応えた男は、よっこいせ、と呟きながら腰を上げてこちらに向き直る。
両腕を懐手にした白い着流し。ゆったりと開いたその胸元からは黒い洋服が覗いていて、おや、懐かしい恰好だな、と土方は思った。
和洋折衷の服装は今日び珍しくもないけれど、一昔前からそんな恰好をしていた男は、最近ではゆるりと和装でいることの方が多くて。下に洋装を重ねてブーツを履くのは、身体を動かす予定がある時や、原付で遠出をする時ぐらいのもの。
どうやら通りがかったというのは嘘ではないらしいと、土方は今も昔も変わらぬ遭遇確率の高さに内心で少し苦笑した。
そして。この通りがかりをわざわざ呼び止めたお節介を目で探して、近くに車がないことに眉を顰める。
…余計な気を効かせて、離れて待っているのかと思ったが。
「オイ、山崎は」
「そういえば俺今日午後から非番だったんで、後はよろしくお願いします旦那。だ、そうだ」
「……車で帰ったのか」
「おお、悠々と運転してったぜ」
笑い含みの声音で返ってきた答えに、土方は額に手を当てて溜息を吐いた。
確かに、アイツのシフトは今日の午後から非番だった。現在時刻は十四時半。事前にひとこと言ってあったとはいえ、超過勤務ではある。…が。
江戸まで車で二十分はかかるこんな場所で、徒歩の上司を置き去りにするとはいい度胸だ。
「後でシメるか」
「俺もそれに一票。ったく、仕事帰りの人間捕まえて勝手なこと言いやがってよォ。なんなのアイツ。何年経っても地味なくせに強引さだけガンガン増してね?」
「同感だ」
煙草をふかして苦い顔をすれば、銀時は一笑して、懐手の両腕を袖に通す。
原付のハンドルに引っ掛けてあったヘルメットを投げて寄越すのを片手で受け取って、土方は煙草を携帯灰皿で揉み消した。
未だに喫煙マナーが向上しているとは言い難い土方だが、さすがに、墓前に続く道に吸殻を捨てる気にはなれない。
「こんなとこで何の仕事だ」
「農家の手伝い。収穫期で人手が足りねぇんだと」
仕事帰り、という言葉を捉えた問いには、さらりとした答えが返ってくる。
なるほど、先程からいつにも増して気怠げなのはそういうわけかと土方は得心した。
収穫期の農家。それは結構な重労働だろう。まして、以前のように三人ではなく、一人で万事屋稼業を営んでいる現在の男には、尚更。
原付に歩み寄りながら、少しだけ日に焼けたようにも見える顔を眺めると。銀時は土方の視線に応えるようにひょいと肩を竦めた。
「いやホント疲れたよコレ。若いもんはみんな都会に出ちまったからっつって、ここぞとばかりにこき使われてよー。なにしろ銀さん頼りにされちまってっから」
「はっ、四十のおっさんが若いもんのくくりに入ると思ってんのか」
「まだ四十じゃねぇよ!ってか四十でも依頼主のジジババどもにとっちゃ充分若いもんだからね!まだまだ現役だよ、俺も、もう一人のオレも」
「そーかい」
チラリと視線を俯けた台詞をさらりと流してやれば、銀時は一瞬の間の後、つまらなそうな感心したような面持ちで顎を撫でた。
「お前ほんと可愛げなくなったよなァ」
「そんなもん元からねぇよ」
「いやいや、昔のお前はもうちょっとこう、あれだ。アホだったよ」
「喧嘩売ってんのかテメェは」
「そんなモン売るほど若くありまっせん」
そう言って、軽くポンとシートを叩いた銀時に。まだまだ現役なんじゃねーのかよと笑いながら、土方は銀時の後に続いてシートの後部に跨った。
「お客さんどちらまで~?」
「そうだな、とりあえず江戸まで頼まァ」
江戸の何処に連れてってもらうかは追い追い考えるわ。
ふざけた口調の銀時にそう応えれば、りょーかい、という返事とともに、ブロロ…と古くさい音を立てて年代物の原付がゆっくりと走り出す。
(……やっぱり、何も聞かねぇんだな)
すぐ目の前にある白髪の後ろ頭を見詰めながら、土方は、胸の内に呟いた。
あの石段の上に何があるのか、おそらく銀時は知っている。
ごく僅かな時間だったけれど銀時はミツバと面識があった。今日も、仕事帰りにこの上に寄るつもりだったのかもしれない。でなければこんな本通りから外れた場所はそうそう通りかからないはずだ。
…そして、土方が今までミツバの墓に参ったことがなかったのも、銀時は知っているはずだった。
ならば。十年も経った今になってここへ足を運んだことに、当然何らかの意味を忖度しているだろうに。
コイツは昔からこうだったな。
土方は苦笑う。
知り合った頃から既に、こんな風に、口を出すべきところと噤むべきところを上手く推し量る男だった。
…それでも昔は、他人に踏み込みすぎたくないという或る種の臆病さも併せ持っていた気がするけれど。最近のコイツにはそれも無い。
ただゆっくりと原付を走らせて、こちらの話しやすい状況を作ってくれている。
山崎はせっかく気を効かせて機会を作ってくれたけれど。土方に話すことがないならば、別にそれでいいと言うのだろう。
――さて、何をどう言うべきか。
後頭部を見詰めて、土方は唇を歪める。
以前より少し短くなった髪は相変わらず天パで好き勝手に跳ねてはいるが、短い分、だいぶすっきりとしていて。
初めてこのくらいの長さになった時、何故今まで切らなかったのかと疑問に思ったものだが。どうやら髪の重さで少しでも天パが伸びないかと望みをかけていたらしいと知って大笑いしたのは、もう随分と昔の話だ。
「…生憎、俺ァ変わっちゃいねぇよ」
「んー?」
ポツリ、紡ぎ出した台詞には、気のなさそうな声で相槌が返ってくる。
仕事後の適度な倦怠感を漂わせる背中から、気安い空気が感染してくるのを感じて土方は目を閉じた。
「相変わらず馬鹿で阿呆のままだ」
「まあ、俺はバカとは言ってねーけど」
「山崎に言われた」
「あー…」
さすが、よくわかってんじゃんジミー。
銀時は緩く破顔して、そのまま言葉を続ける。
「何しろ、あんなイイ女フッといてこんなオッサンと2ケツしてんだもんなァ。そりゃバカだよお前」
「まったくだ。…ミツバにも、そう言っておいた」
さり気ない銀時の台詞に、これまたさり気なく応えれば。
銀時からは珍しく、本当に珍しく、虚を衝かれたような沈黙が流れた。
銀時とこんな間柄になって、もう何年経ったか。
墓参りにも来ていなかった土方は、当然ミツバに報告などもしていなくて。
土方が言わない以上、おそらく銀時も他の誰かも、敢えてミツバに告げることはなかっただろう。
隠す必要があったわけでも、報告を義務だと感じたわけでもない。
土方が誰かと添うことをミツバが裏切りと咎めるとは思えないし、銀時が土方の態度を、ミツバへの未練だと穿っているとも思えない。
今になってまだそんな風に思うのは、むしろ二人に対する侮辱だろう。
――だったら。なぜ今、敢えて報告したのかと言われれば。
銀時はやはり口に出しては聞かないが、沈黙にこそ尋ねられているようで。
以前の自分は聞かれないのをいいことに口を閉ざしていたけれど。それではあまりにもおんぶにだっこだと、最近では聞かれずともなるべく答えるようにしている。
数秒、言葉を探して首を捻ってから、土方は口を開いた。
「…深い意味はねぇ。ただ、言わねぇと俺の気が済まなかった、だけだ」
墓の前に佇んで故人を偲んでいた時、最期の記憶の中に過った顔。
言うべきか言わざるべきかと、迷ったのは少しの間だけ。気付けば口に出していた。
ただ単純に、昔よりは自分の本音から逃げずにいられたら、と思ったのだが。
墓前でそんなことを語られて、ミツバがどう思ったかはわからない。
――結局はまた、自分の身勝手だ。
そして。
「……ったく、テメェってヤツぁよ」
銀時はボヤくような声で呟くと、ハンドルから片手を離してガシガシと頭を掻いた。
こうして身勝手を赦してしまうヤツに囲まれているから、俺はいつまでも甘えてばかり。
…なんて、とんだ責任転嫁。
こういうところが甘えだと謂うのに。土方の口元が苦くほころぶ。
時ばかりが飛ぶように過ぎて、なかなか進歩のない自分。
…いつか、コイツやミツバと、同じ目の高さでものを見れるようになるのだろうか。
彼らの後塵を拝していることに、過剰なまでの焦りと劣等感にせき立てられることはなくなったけれど。
ふわふわ揺れる銀髪をじっと見詰めながら、土方は、片手でトンと銀時の腰あたりを小突いた。
「万事屋、スピード上げろや」
「あァ?おま、コレ何年乗ってると思ってんだ。ご老体だぞ労れバカヤロー」
「大丈夫。まだまだイケる。コイツはやればできる子だ」
「お前が俺の原チャの何を知ってんだァァ!」
ぶつぶつと文句を言いながらもスピードを上げた銀時に、土方は口角を上げる。
そうだ。まだまだ力はあるのだから、ご老体なんて嘯いて出し惜しみしてもらっては困る。
だって、俺は立ち止っているコイツに追い付きたいわけではないのだ。
待っていてほしくなどない…生来の負けず嫌いは、十年経っても消えずにひょっこり顔を出す。
今も昔も、ずっと自分の前を歩き続けているコイツらに。自分の足で、肩を並べられるところまで――いつか。
(……六十ぐらいまでにゃ、辿り着きてぇんだがな)
そんな歳まで生きていることを想像するようになった自分に。
土方は銀時の肩に額を乗せて、くっくと肩を揺らした。
――「ただ、俺の気が済まねぇだけだ」
土方から銀時への I LOVE YOU
――「ったく、テメェってヤツはよ」
銀時から土方への I LOVE YOU
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土方って男は、
おまえ何様だっていう傲慢さと
呆れるほどの不器用さと
こちらが心配になるぐらいの自分への厳しさと
尻を蹴飛ばしたくなるような甘えが
絶妙に混在している実に魅力的なキャラだと思うんですが、
四十路に手が届くころになったら、きっと開き直って本当の意味でイイ男になってくれるんじゃないかと、望んでいます。
私の力量じゃ半分も書き表せなかったけども。
三十路越え銀ちゃんの魅力は言うまでもなく。チクショウ精進精進。
以下私信。
>エミィ!
ちょ、ごめん玉砕した。orz
三十路越え銀ちゃん難しいんだよ!だってあの人もとから三十路越えてるぐらいの落ち着きあんじゃん!あれ以上どうしろっていうんだよ!キィ!(逆ギレ)
いやどうもすいませんでした理想の三十路銀ちゃんはエミィが描くといいと思うよ!ニコ!
しかしミツバさんは本っ当にイイ女だよね~。え?私も?いやんもっと言って!笑
てか、「そこにシビあこ」爆笑ぅぅ そんな略し方すんの!?ちょ、私も今度から使わせてもらうわ^^
>MOCOはん!
気をもたせといてこんなんでホントすいまっせんんん!
だから…期待しないでって言ったじゃない…!
これじゃ何の参考にならないかもしれませんがMOCOはんの三十路銀ちゃんは見たいですお願いします^^
あ、うちの山崎をカッコイイと言っていただけて嬉しいですありがとうございます!でもうちの山崎が、じゃなくて、山崎はカッコイイんです。もとから。
よく見て!原作よく見て!